
フリードリヒ・ニーチェ
ツァラトゥストラ
光文社古典新訳文庫・上巻、2010年
この本について
「神の死」や「超人」を語るツァラトゥストラを通じて、既成の道徳と価値を問い直すニーチェの代表作。体系を説明する論文ではなく、詩、説教、物語のかたちで、自ら価値をつくることの困難を読者へ返します。
自分に残ったこと
この本から受け取ったのは、矛盾のない人間になる方法ではありません。むしろ、自分の中で反対方向へ引かれる感情を、消すべきノイズではなく大切なものとして扱う視点でした。
キルケゴールの『死に至る病』と行き来しながら読むと、自己を固定した定義に閉じ込めないことと、それでも自分として生きることの緊張が見えてきます。結論を取り出す本ではなく、読み手の現在地によって意味が変わる本として残っています。